I LOVE RG! - for Bulgarian RG fan
 

1989年〜1992年

1989年

オリンピックが終わり、近年続いていた10点連発を防ぐため、大きくルールが変更された。これまでの減点法から、9.5を満点に、熟練度0.2、独創性0.2、リスク0.1のボーナス点が加算される仕組みになった。選手達はより正確で難しい技が要求されるようになった。また、単一楽器しか使えなかった伴奏曲に、2つの楽器を取り入れてもよくなった。

ブラザーには、ロバチとドナが来日。二人の対決はまたしてもロバチに軍配が上がったが、ソウルのタイトルを手に入れてしまったロバチには、あまり凄みを感じなかった。それもそのはず、彼女はそのまま世界選手権に出ることなく引退してしまった。それでも、輪とボールの演技は彼女らしいしなやかさと強さがあって素晴らしかった。ドナは、相変わらず力強さとスピードで勝負していた。技に強く、新ルールにも問題なく対応していた。種目別リボンが一番よかったかな。

そしてサラエボの世界選手権。この大会は、NHK-BSで予選からほとんど放送された大サービスだったのだが、当時はBSに加入していなかったので観ることはできなかった。おまけに私は個人総合を見逃すという失敗を犯してしまった…。結局観たのは、種目別と月刊「スポーツアイ」でダビングしたビデオを購入してみた予選の2種目のみ。いつもはしゃべりまくるおなじみの解説者は、この時は珍しく静か。おかげで快適に観戦できました。とにもかくにも、復活したパノバを観た時は本当に驚いた。うわさには聞いていたが本当に復帰するとは思ってなかったので。しかも10点出してるし、前のようなはかないイメージもなく、(そこが彼女の魅力でもあったのだが)ベテランらしい安定した演技で見事でした。しかしこの大会の主役は、ティモシェンコ(以下ティモ)だった。ソウル五輪の時は、演技そのものよりもジャンプ時の200度開脚が凄い!とか恐ろしく細くて足が長いという印象で驚かされたのだが、わずか一年で演技も見違える程良くなっていきなり優勝するとは凄い選手です。特にメリハリのある輪が素晴らしかった。ソウルの時とほとんど同じ構成なのに、こうも違って見えるものかと感心しました。もう一人の新しい顔がスカルディナで、次々くり出される技がびしばし決まっていた。若手の台頭で、すっかり目立たなくなってしまったドナが気の毒だった。私としては今度こそ、ドナに優勝を!と思っていたので残念だったな。ソビエトの3番手ゆえに出番の少なかったコスティナは予選を見る限りいい選手だなーと思った。私は、ティモ&スカルディナのウクライナ出身コンビより好きだぞ。でも、コスティナが真に活躍するのはもっと後のことである。ブルガリアの3番手バイチェバも期待通りの素晴らしい選手で、コレバ引退後、よく頑張っていた。ブルガリアの国内選考で優勝していたものの、この大会では若さが出たのか予選ではミスが多く決勝には進めなかった。種目別のリボンは、独創的で非常にいい演技だった。(余談ですが、88年のNHK「妖精たちのふるさと」の番組の中で、ブルガリアナショナルチームの発表会の模様が映るんですけど、そこで演技を披露しているのはバイチェバではないでしょうか。きっとそうだと思います。)

日本人選手は、秋山エリカが健闘した。若手主体となりつつある新体操界の中で、ひときわ異彩を放っていた。それにしても、ルール改正にもかかわらず10点満点はでまくっていたな。中には、ちょっとおかしいんじゃないのという採点もちらほら見受けられた。

サラエボ直後のワコールでは、パノバ、ドナ、バイチェバという豪華メンバーが揃って来日。パノバを観たのは、この大会が最後だったのでチケット取って観に行けば良かったなと後悔した。世界選手権よりもカメラが近く、曲がはっきり聴こえ選手の動きもよく見えるのがよかった。ブルガリア団体の輪とリボンの構成が好きだなー。ただ、実況アナも解説者も異様に興奮していてめちゃくちゃうるさいのが難点。君たちがはしゃいでどうするのだ、と観ている方は興醒めですよ。

1990年

ソウル以後、ソビエト勢が完全に主導権を握ってしまった。ブラザーを見る限り、ティモとスカルディナの圧倒的強さによってこのままいってしまうようである。ブルガリアからは新しい選手が来ていた。マリノバである。正直、このときは彼女の演技はあまり印象に残らなかった。かわいい顔をしていたけど、体型的に恵まれておらず、動きも小さかったからだ。でも、マリノバでなくたって股下93cmのティモのような驚異的なプロポーションに対抗できる人はまずいない。この頃の新体操は、ルールが改正されてから独創的な動きや手具操作よりもダイナミックさが重要視されていたと思う。ジャンプの大きさやバランスの正確性が得意なウクライナ系新体操が正統とされていたようだ。それが悪いとは思わないが、私としてはやはり何となくつまらないなーと思ってしまう。もっといろんな個性を認めておくれよと思っていた。

私が悶々としている間にこの後マリノバは急成長したらしく、ワールドカップで二位になる。テレビでの放送がなかったのが残念だっだが、マリノバの活躍は嬉しいにしても、一体バイチェバはどこへいってしまったんだーと思っていたらワコールでしっかり来日してくれた。ところがマリノバはいない。代わりに若いアタナソバが来ていた。若さゆえかあまり表情を出さず、たんたんとしているが手足が長く大人っぽい演技をするので、これから楽しみだなと思っていた。しかし、ワコール以後彼女の姿をTVで観ることはなかった。(と思ったら、93年のワコールカップで団体の選手として来日。元気な姿を見せてくれました) 一方のバイチェバは、素晴らしい選手になっていた。なんでも先の欧州選手権で優勝していたというではないか。知らない内に活躍していたのね。何でブラザーに来てくれなかったのか、と思っても仕方ないがワコールで全種目放送してくれたからよしとしよう。パノバの優雅さとドナの力強さをうまーく調和させたような演技で、特に輪の表現力とボールの扱いのうまさに見とれてしまいました。

1991年

この年もティモとスカルディナの独走は、とどまるところを知らないようだった。ブラザーでも次々と高得点を叩きだしている。音の使い方とかはあまりいいとは思わないのだが、動きの見せ方がうまいのだ。二人とも大きい技が得意なので見映えがするし。特に90年以降はスカルディナの勢いが凄まじく、ベルギーで行われたワールドカップでも優勝している。対するブルガリアはマリノバとシケロバ。90年からバルセロナにかけてブルガリアは強化する選手を迷っているかのように、入れ替えてきている。バイチェバも出てこなくなってしまったなぁ。しかし、ブルガリアってば妥協するってことをしないのか、徹底的にソビエト勢とは対極の路線で演技を構成している。もちろん、みんながソビエトのような演技になってしまったら面白くないわけだし、ブルガリアの徹底した信念が好きなんだけど、審判はソビエト側にやはり高い点を出すのだ。フィギュアスケートのアイスダンスに例えれば、クリモワ&ポノマレンコに対抗するディシュネ兄妹のようだ。(例えが古くて失礼) ティモ&スカルディナは圧倒的な強さを見せていたから、仕方ないかなぁという面もありましたが。それでも、マリノバの上体の使い方の滑らかさと工夫された構成にはただただ驚かされました。さすがに前年のワールドカップで2位になっただけの実力の持ち主だ。それに使う音楽のセンスがいい。(ボールの曲にピンク・フロイドを使うなんて驚きの選曲です。それがまたとってもマッチしている!)シケロバもなかなか面白い選手だ。きびきびとした動きと、オリジナルな技がたくさん入っていて楽しめる。ルーマニアのデレアヌもいいなと思った。15歳とはとても思えないダイナミックな演技をする。(彼女は、89年のサラエボの世界選手権に13歳という若さで出場して19位に入っている。そして今回のアテネは個人総合5位。素晴らしい大躍進である)

アテネの世界選手権は、ティモを抑えてスカルディナが優勝した。彼女の演技は私はあまり好きになれないのだが、こん棒の連続技はお見事というほかない。彼女の凄いところは、あれだけの技をこなしながら、常に左右のこん棒が動いていることだ。(最後の足なげも含めた連続技で、前転しながらもきちんと片方のこん棒を動かしている。これには唸らされました)マリノバは、ティモに次いで3位。しかし、本当に素晴らしい演技だった。総合のボールで10点を出しながら、後で訂正されて9.9になってしまった。なんでやー!!解説者も減点するところは見当たらないといっていたのに。たとえ10点でもティモを抜くことは出来なかったのですが、素晴らしい出来だっただけに、何となく後味が悪いなぁ。それでもあの超スローのピボットは、震えがくる程美しい。実況アナ曰く「鶴をみているようだ」その通り!演技の大きさでは、ウクライナコンビに劣るが、緻密に計算された独創的な構成、音楽、全てがもう正にこれがブルガリアの良さだよ!という演技だった。(輪で使用したエディ・ルイスの曲がぴったり合ってる。渋いなぁ)しかし、審判はダイナミックさを重視するので種目別でもマリノバは自身の最高の演技をしたが、全てティモに優勝をさらわれてしまった。またティモがここぞとばかりにいい演技をするんだよね。ほんとに憎い人。ブルガリアのもう一つの注目は、マリア・ペトロバがデビューしたことだ。予選のこん棒で満点を出すなど、潜在能力の高さを示した。なんでもこの大会の最もチャーミングな選手に選ばれたそうで、(どういう形で選考されたのかは不明)確かにかわいい顔をしているだけでなく、天性の表現力を持っているようだ。まだ小さくてか細かったが、不思議と引き付けられる魅力を持っている。しかし、そんな彼女が本領を発揮するまでには、あと2年待たねばならない。

ワコールでは、ソビエトはウクライナコンビ&コスティナ、ブルガリアはペトロバを筆頭にポポバ、カレンスカの若手が来日。コスティナの演技を久々に観ることができて良かった。ソビエトの3番手は辛いな。世界選手権予選を4位で通過しながら、決勝に出られなかったんだもの。ところでマリノバ、シケロバはすでに引退してしまったのか、観たかったのに残念だった。

1992年

ブルガリアはここ数年、選手の入れ代わりが激しいなと思った。中でも、トドロバを覚えている人はすくないだろう。彼女は今までのブルガリア選手のイメージとは少し違う。国内選考で敗れたのか、オリンピックには出ていない。私もブラザーカップで一度観たきりである。しかしティモの失敗にも助けられ見事に個人総合優勝。この頃から、ティモに精彩がなくなっていったと思われる。

バルセロナ五輪には、ソビエト崩壊後、EUNとしてティモ&スカルディナが出場。ティモは、ぶっちぎりで優勝したものの印象は薄く、むしろパスカルの大躍進がすごかった。地元開催で得点が伸びたとはいえ、勢いで銀メダルをもぎ取っていった感じ。大舞台でのあの度胸にはほとほと感心した。表彰式でのスカルディナのパスカルへの握手拒否も話題になった。3位のスカルディナの悔しい気持ちもわからぬでもないが、私はむしろティモの得点が高すぎるぞと思った。技の数も減り、動きの切れもなく力の衰えは明らかだったのにな。それでも、金メダルが取れるティモは本当に強い人だ。同僚のスカルディナの得点が抑えられてるのに一人で独走してました。しかし、若手のペトロバ&ポポバを投入した我がブルガリアは目立たなかった。マリノバ、ペトロバでいけばよかったのに。15才のポポバにはまだ荷が重すぎたと思う。後々の女王ペトロバもこの時点ではまだ演技が小さく、ミスも多かった。

オリンピック後、ティモ&スカルディナは引退し、遂にもう一人のオクサナ、コスティナが世界選手権で二十歳にして悲願の優勝を果たした。長年、先の二人に活躍の場を奪われていただけに彼女の優勝は本当に嬉しかった。よく辛抱したねと思います。ワコールカップで四種目全て観ることができた。なわでの3回連続ジャンプを踏みかえなしでやるのは彼女独特のもの。しかしそのことよりも、コスティナは今思えばロシアの選手には珍しく手具操作が巧みで、音楽と動きがぴったりはまっていたことが素晴らしかった。彼女が自動車事故で亡くなったことは本当に悲しい出来事だった。彼女が生きていて、コーチとなって活躍していれば...とつくづく思う。今の柔軟性ばかりを強調したサーカスのようなロシア勢の演技も少しは違ってたかもしれない、と思うのは私だけだろうか。

バルセロナでは振るわなかったペトロバは、ワコールでの演技は見違えるように成長していた。これからもっと凄い選手になるぞ、と期待させるに十分な演技だった。特に輪の演技は、前衛的で見入ってしまいました。でも、番組の中で点数を表示してくれなかった。がっくり。

>> 戻る Last Update : 2002/05/16