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思い出の名選手達

  リリア・イグナトバ   1965.5.17 生まれ(活躍時期:1980-1986)
 

リリア・イグナトバ1980年代初期からの新体操界を常にリードし続けた世界の女王。リリア・イグナトバには「新体操の女王」という形容詞がよく似合う。日本の国際競技会にも毎年のように参加していたので、その当時新体操といえばイグナトバという名前がパッと浮かぶほど、その人気と知名度は突出しており、山崎浩子と共に日本の新体操人気に大いに貢献した1人だったといえるだろう。「リリー」という愛称で親しまれ、すらりと伸びた手足と明るい笑顔は人を引き付けてやまない魅力を持っていた。彼女の演技に魅了され、新体操ファンになった方も多いのではないだろうか。(かくいう私もその1人) 新体操選手を「努力型」と「天才型」にわけるなら、彼女は間違い無く「天才型」の選手であったと思う。それゆえかノリにノっている時の演技は誰にも太刀打ちできないオーラを放っていたが、肝心のところでミスをしてしまう一面もあり、世界選手権は3大会連続の2位(81年は同僚のラレンコバ、83、85年はゲオルギエバに敗れた)と意外にもビッグタイトルには恵まれていない。また、ブルガリアが1984年のロサンゼルス五輪に不参加という不幸も重なり、もし仮に五輪に出場していたらイグナトバか同僚のゲオルギエバが金メダル最有力候補だっただろう。その年行われたブラザーカップでは、五輪不参加のショックのためか魂の抜けたような演技をしていたのがとても痛々しかった。引退を決めた1986年のワールドカップ東京大会では、別格の存在感を見せつけ優勝、有終の美を飾った。長い競技生活の中で、初期の頃はスピード感と巧みな手具操作で圧倒するような演技を見せていたが、1985年以降はしっとりと優雅に、時にコミカルにと情感豊かに様々な女性を演じわけ、演劇的要素が色濃くなったように思う。また、この頃はピアノが主流だった伴奏音楽にいち早く太鼓やバイオリンなどの楽器を取り入れ、常に新しいスタイルの演技に意欲的に挑戦していたことも印象深い。1990年には、新体操プロ選手としても活動、日本にも自らのチームを率いて演技を披露してくれた。

  主な成績
  1980年ヨーロッパ選手権個人総合2位
1981年世界選手権個人総合2位 種目別ロープ、フープ優勝
1983年ワールドカップ個人総合優勝
1983年世界選手権個人総合2位 種目別ボール、クラブ優勝
1985年世界選手権個人総合2位 種目別ボール、クラブ優勝
1986年ヨーロッパ選手権個人総合優勝
1986年ワールドカップ個人総合優勝 種目別ロープ、ボール、クラブ優勝
  ベスト演技
 
1) 1983年 ボール:「行かないで」
このボールの演技は、furiが子どもの頃に見て深く感動してしまったのでそれだけ思い入れが強く、迷ったけれどやっぱり第1位にしちゃいました。この演技の素晴らしさは、何といっても最初のポーズである。座位の姿勢から、足の下にボールを挟んでスタートする。何と独創的で美しいポーズなのだろうと感激してみたことが忘れられず、後にビアンカ・パノバのファンになってからも、ずっとこのリリーのボールの演技をもう一度見たい見たいと願い続けていた。哀愁を帯びた物憂げなメロディーに合わせ、ボールが腕から背中へ背中から腕へと滑らかに転がり、しっとりとした女性らしい優雅さが存分に堪能できる。ブルガリアの選手達は、リリーだけでなく他の選手もみんなボールを得意としており、お家芸といってよいほどの素晴らしい演技を披露してくれていた。

2) 1982年 リボン:「熊ん蜂の飛行」リムスキー・コルサコフ
この演技も私がまだほんのガキの頃に見て、かすかな記憶だけが残っていた作品。熊ん蜂が飛んでいるかのように、物凄いスピードでリボンがぐるぐる動いていたことだけはとても印象に残っていた。リリー自身はリボンがあまり好きではない種目で苦手にしていたということだが、この演技ではそんなことは全く感じさせず、いかに彼女の手具操作が巧みだったかがうかがえる。目まぐるしく動くリボンの軌跡を見ているうちに、あっという間に演技が終わってしまうので何度も何度も繰り返して見たくなる麻薬のような作品である。furiはもう30回以上は見てるはず(泣)。誰か止めてくれー。

3) 1983〜1985年 クラブ:「カルメン」ビゼー
彼女のクラブの操作は、まさに天才的といえると思う。特に2本のクラブを同時に投げての背面キャッチなどは、余りにも自然にクラブが手の中に収まっており、まるで魔法でも使って操っているのではないかという錯覚に陥るほど素晴らしい手具感覚を見せてくれる。83〜84年の構成と85年の構成では、同じカルメンを使用していても曲調や振り付けは異なっており、どちらも甲乙つけ難い良さがあります。前者は、迫力満点でたたみかけるような技の妙を、後者はリリー自身が完璧にカルメンになりきっていて、情感たっぷりな表現を見せてくれる。特に85年の演技の中盤のハバネラのパートでは、振り付けと顔の表情がとっても色っぽく「おお、これはホセを誘惑している目だー!!」と興奮しながら見てしまいました。こんなカルメンになら騙されてみたい…とまじで思ってしまったよ(笑)。

  リリア・イグナトバ全演技
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